クレマチスとはキンポウゲ科クレマチス属の総称です。同じキンポウゲ科にはアネモネ、クリスマスローズなどが分類されています。
「テッセン(鉄線)」はクレマチスの原種の1つです。本来、クレマチスと総称すべきところですが、意外と多くの方には「クレマチス」というより「テッセン」の方がわかりやすいようです。
現在パテンス系、ラヌギノーザ系、ジャックマニー系、フロリダ系等と呼称・分類される多くの品種は日本、中国等の原種からイギリスを中心に交配等により改良が加えられた園芸品種です。その原種の形態的特徴を受け継ぐ園芸品種はパテンス系、ラヌギノーザ系などと分類されていますが、交配の繰り返しで○○系と表現できなくなってきているようです。また、開花時期や花のつき方によって「旧枝咲き・早咲き」、「新枝咲き・遅咲き」、「新旧両枝咲き」という分類や、「早咲き大輪系」、「遅咲き大輪系」等という分類がなされています。
クレマチス専門の生産者のカタログを参照して、最近の分類を以下に記します。
早咲き大輪系
前年に伸びた蔓(旧枝)から蔓が1~4節伸びて4~5月に一番花をつけるタイプです(旧枝咲き)。パテンス系の品種がこの中に含まれます。2番花以降は弱剪定(花から1~2節下を剪定)と施肥により伸びた蔓に9、10月ぐらいまで花を繰り返しつけることができます。柿生(かきお)やミス・ベートマン(Miss Bateman)がこのタイプで、多くの品種があります。冬場の剪定も枯れている蔓(枝)や新芽のついていない芽吹きの悪い枝を取り除くのが基本です。下の写真は左から柿生、ミスベートマン、アンドロメダです。
遅咲き大輪系
春と秋、今年伸びた蔓に花をつけるタイプです。ラヌギノーザ系、ジャックマニー系の品種がこの中に含まれます。新しく伸びた蔓を下1~2節残して剪定する(強剪定)ことで、そこから伸びた新しい蔓にまた花を咲かすことができます(新枝咲き)。下の写真は左からハーグレイハイブリッド、エクスタラ、ジョンファクスタブルです。
八重咲き大輪系
前年に伸びた蔓(旧枝)から蔓が1~4節伸びて4~5月に一番花をつけるタイプです(旧枝咲き)。パテンス系の八重咲き品種がこの中に含まれます。2番花以降は弱剪定(花から1~2節下を剪定)と施肥により伸びた蔓に9、10月ぐらいまで花を繰り返しつけることができます。花は豪華な八重咲きですが、株の状態により一重、半八重咲きにもなります。フロリダ系に分類されている品種もありますが、八重咲き=フロリダ系ではありません。下の写真は左からダッチェス・オブ・エジンバラ、ベル・オブ・ウォッキング、レッドスターです。
大輪フロリダ系
新しい蔓から伸びた側枝に次々と花をつけるタイプで、テッセンとその変種である白万重(しろまんえ)を交配親とする系統です。剪定は中/強剪定です。下の写真は左からテッセン、白万重、カシスです。
ビチセラ系
南欧州からアジア南西部にかけて自生するビチセラとその系統の品種で、花は今年伸びた蔓に小~中輪の花を上向き、横向き、下向きに咲かせます。八重咲きの品種もあります。剪定は強剪定です。下の写真は左からエトワールバイオレット、アルバラグジュリアンス、メアリーローズ(フローレ・プレノ)です。
モンタナ系
原産はヒマラヤ~中国西部の標高2000~3000mmの山間部に自生しています。前年生育した葉腋に春開花します。年数が経つにつれて株が茂り株全体を花が覆うようになりますが、夏の暑さに弱く、涼しい場所、水はけの良い土を好みます。暑い場所では3年ぐらいで突然に枯れてしまうことがあります。冬場は葉を落とします。剪定は弱剪定です。下の写真はモンタナ・ルーベンスです。
シルホサ系
冬咲き品種。晩秋から初春にかけて前年成長した茎に花がつきます。夏は葉を落として休眠しますが、秋に入り涼しくなると古い蔓から葉が芽吹いてきます。剪定は弱剪定です。下の写真は左からシルホサ、シルホサフレックルス、ランダンジムです。
ヘラクレフォリア系
6~9月に今年伸びた茎に開花。花は筒状かベル形。耐暑性、耐寒性が強く、草ボタン、チャイナ・パープルなどが含まれます。
テキセンシス系
北米テキサスからメキシコに自生するテキセンシスに大輪系の品種を交配させたものに由来する系統です。花は小さな壺状や筒形で、やや上向き。横向きに咲きます。耐暑性はありますが、冬の寒さにやや弱く、地上部は枯れた状態で越冬します。剪定は強剪定です。下の写真は左からプリンセスダイアナ、テキセンシス、テキセンシス・スカーレットです。
ヴィオルナ系
クリスパ、フスカ、ピッチャリ、ヴィオルナ、テキセンシス等とそれに由来する栽培品種。今年伸びた蔓に春遅くから秋にかけて開花します。花は小さな壺形、ベル形で、耐暑性、耐寒性に富みます。剪定は強剪定です。下の写真は左からクリスパ、這沢、キングスドリームです。
タングチカ系
今年伸びた成長部に夏から初秋にかけて小さな花をつけるタイプ。クレマチスにはめずらしい黄花の品種が多い。下の写真はタングチカ・ヘリオスです。
ヴィダルバ系
今年伸びた蔓に夏から秋に小さな花を上向きにつけるタイプ。剪定は中剪定(任意)です。ボタンヅルなどが含まれます。
アーマンディー系
アーマンディーに属するか由来する園芸品種の系統。春早い時期に他の系統に先駆けて、甘い香りのする花をつけます。剪定は弱剪定です。下の写真はアーマンディ・アップルブロッサムです。
フラミュラ系
夏頃、今年伸びた蔓に小さな花をつけるタイプで、通常、芳香性があります。仙人草(センニンソウ)などが含まれます。下の写真はセンニンソウです。
アトラゲネ(アトラジェン)系
アルピナ、マクロペタラ等に属するか、由来する栽培品種。春、古枝に花をつける旧枝咲き系統。花は一重から八重咲きで、下向きに咲きます。涼しい気候を好みます。下の写真は左からアルピナ、レモンベル、マクロペタラ・マークハムズピンクです。
カンパネラ系
主としてカンパネラに属するか由来する園芸品種で、コンターナグループ、ハンショウヅルグループを含みます。下の写真は左からレペンス、ハンショウヅル、シロバナハンショウヅルです。
インテグリフォリア系
Clematis integrifoliaに属するか、それに由来する園芸品種で、木立ち性、あるいは半つる性で、夏から秋にかけて今年伸びた蔓に下向き、あるいは横向きの花をつけます。剪定は強剪定です。下の写真は左から篭口、白麗、花島です。
フォステリ(ニュージーランド)系
ニュージーランド原産で、一年中常緑の系統。冬場、乾燥気味に育てると花芽をつけやすい。花は小さく、葉はパセリ状。剪定は弱~強剪定です。下の写真は左からピクシー、アーリーセンセイションです。